ボンジョルノ。
今日はイタリアの有名なグルメガイド、ガンベロ・ロッソ誌で興味深い記事を見つけたので、ご紹介します。Juan Vilar氏という高名なコンサルタントがまとめた国際的なオリーブの成長に関するレポートです。
オリーブオイルの国別生産量から歴史、耕作、そして品種についても記載されていました。
オリーブオイルについて、もっと知りたい豆知識として、世界で一番オリーブオイルの生産量が多い国、そして世界で一番作られている品種についてご紹介します。
オリーブオイルの生産量世界一の国はどこ?
生産量の多さを発表する前に、オリーブの実を生産している国って、世界でどのくらいあると思いますか?
答えは、58か国。驚くほど多かった!
そして消費している国は179か国。こんなに世界中で使われているなんて、すごく嬉しい、関係ないけど。
生産量の一番多い国については、オリーブオイルの勉強を本格的にする前は、てっきりイタリアだと思いこんでました。それは随分前の話で、今では違うんです。しかも、ちょっとやそっとの差じゃなくて、全然違う規模なのです!
第1位:スペイン (1,342.33千トン)
なんとすごいことに、世界中の全製造量の49.12%。つまりほぼ半分をスペインで作っているんです。
なんでも、少し前にスペイン政府が余っている土地の活用法として、オリーブの木を植える政策を取ったそうなんです。その効果が出てきてるんですね。
しかも計画的に植樹しているので、手入れにしても収穫にしても木と木の間にきちんとトラクターが入れるようになっていて、効率的な農業ができるのです。
現時点では、とにかく生産量を上げることを目標にやってきましたが、これからどんどん質も上がっていくのでしょうね。
第2位:イタリア (386.77千トン)
世界生産量のわずか14.15%。スペインには大きく水をあけられています。というのも、イタリアの政府はスペイン政府のような努力をしなかったから。そして今も何もしていないのですから、当然と言えば当然なのですが、もったいな~い!
先日、小規模な生産者の方とお話しする機会があったのですが、オリーブオイル産業を助けるどころか、かえって邪魔になるような法律ばっかり作って、本当に嫌になる、と嘆いてらっしゃいました。まさにイタリアなんですよね・・・
しかも、イタリアのオリーブオイル産業は伝統があるからいい面もあるけれど、悪い面も。オリーブの木は水をあまり必要としないので、農家の人は自分の畑の端っことか、辺鄙な場所にオリーブの木を植えたそうです。そのため、車が入ることができないので、収穫時にとにかく人手がかかる、という樹齢の高い木がたくさんあるそう。効率的じゃないところ、やっぱりイタリアですね。
第3位:ギリシア (250.67千トン)
イタリアとスペインの差に比べたら、ギリシャとの差はとてもわずか。
しかも、ギリシア人は人口がイタリア人よりとても少ないのか、食べる量がとても少ないのか、イタリアの消費量の約4分の1の136.67千トンの国内消費量です。ということは、すべて自国で作ったもので間に合うんですから、すごくバランスがいいですね。
輸出量は少ないですが、イタリア人の友人で、イタリアのオリーブオイルは値段が高すぎるから、とわざわざギリシアから買っている人もいます。
そのほか、4位から10位
4位:チュニジア(183.44千トン)
5位:トルコ(148.33千トン)
6位:モロッコ(126.67千トン)
7位:シリア(131.67千トン)
8位:ポルトガル(87.23千トン)
9位:アルジェリア(65.17千トン)
10位:アメリカ合衆国(10.33千トン)
こうしてみると、アフリカや中近東の国もあるけれど、9位まですべて地中海沿岸の国なんです!
やっぱりオリーブオイルは地中海式ダイエットに欠かせない大切な食材だということがわかりますね。
意外だったのは、10位のアメリカ。世界全体でみると、わずか0.38%のシェアだけど、こんなに作っていたなんて意外です。
今、アメリカではエキストラヴァージンオリーブオイルが健康にいいと、国を挙げて使うように推奨しているので、当然と言えば当然ですね。
世界で一番多いオリーブの実の品種は?
オリーブの実の品種って、いくつぐらいあるかご存知ですか?このレポートによると、世界で1500品種。そのうち、イタリアの固定品種は500以上なんです。やっぱりオリーブの国ですよね。
ただ、たくさんあるだけに一番にはなりえないのがイタリアです。地方ごとにバラエティに富んでいる国なんです。
第一位:アルベキーナ
やっぱり、というか、当然のようにスペインの代表的な品種のアルベキーナ。しかも、この品種は栽培がしやすい品種なので、近年、オリーブ作りを始めた国は、みんな、この品種を好んで導入しているそうです。
そのせいあって、全体の30%をシェア。3割ですよ!
第二位:ピクアル種
そして、やはり2位もスペインのピクアル種。こちらは、10%だそうです。
それにしてもアルベキーナとピクアルの2種類で、世界の全生産量の40%を占めるっていうのは、なんだか恐ろしいような話ですね。
そのほか
- アルボサーナ
- コロネイキ
- フラントイオ
- レチーノ
- ホジビアンカ
- ヴェルディアル
- カラマタ
- ピッチョリーネ
- アレンタジャーナ
- ナバル・バラディ
そのほかの品種も、やっぱりスペイン語風の名前のところが多いですね。
イタリアはフラントイオとレチーノが入ってます。この品種も中央イタリアで多く作られているお馴染みの品種です。
日本のオリーブについて、ご存知ですか?
世界はいいとして、今度は日本。
日本は生産量では世界58位。量は少なくても、良質なエキストラヴァージンオリーブオイルを生産する国としてイタリアでは知られているんです。ただ、量が少ないので、輸出量がほとんどないために、普通の人にはあまり知られていませんが(日本でも手に入れるのは難しいそうですね)
製造量は0.03千トンで消費量が55.5千トンなので、圧倒的に輸入に頼っています。
ちなみに日本で作られている品種は、ミッション、マンザニッロ、ルッカ、ネバディッロ、アルベキーナ、フラントイオです。
日本で最初にオリーブを食べた人物は?
この資料には、各国のオリーブの歴史が書いてありました。頑張って英語の資料を読んでみると、日本については私が知っているよりも、もっと昔にさかのぼる歴史がありました。
最初に日本でオリーブの実を食べた人として記録されている人物は、なんと豊臣秀吉だそうです。
1594年にスペイン王のフィリップ2世から塩漬けのオリーブを贈られたそうなんです。長い船旅のオリーブの実、どういうお味だったんでしょう?
本当はそれよりも前に鉄砲伝来とともにポルトガル人がオリーブオイルを持ち込んでいて、「ホルト(ポルトガル)の油」(ポルトガルの油)と呼ばれていたそうですよ。
オリーブオイルも、最初はポルトガルだったんですね!
そのあと、19世紀中旬にオランダ人から医学を学んでいた医者が医療用の油を作るために、てフランスから取り寄せて育てようとしたり、日本赤十字の創設者がイタリアから取り寄せたりしてるんです。
あの時代にヨーロッパから運ぶって、すごい話ですね。やっぱり歴史は面白い。
いろんな努力の甲斐あって、今の日本にも小豆島を始めとして上質なオリーブオイルの産地が増えて行っているなんて、素敵ですね。
私もいつか、日本のオリーブオイルを食べてみたいです!
まとめ
今回は、オリーブオイルの豆知識についてご紹介しました。
世界58か国で育てられているオリーブですが、オリーブオイルに関しては約半分をスペインで製造。そして続く8か国もすべて地中海沿岸の国。やっぱり気候が適しているんでしょうね。
一方、オリーブの実の種類は、スペインのアルベキーナとピクアルで、約40パーセントを占めています。
だから、私はイタリア産のオリーブオイルがおもしろいな、と思っておすすめするんです。500以上も土着品種があるなんて面白い!味をこんなに比べられるのもイタリアならではです。
最後に日本の数字もご紹介しました。生産量は少ないものの、素晴らしい品質で高く評価されていることを、知っていただきたいです。
というわけで、知っているとちょっと面白いエキストラヴァージンオリーブオイルの雑学でした。
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