ボンジョルノ。ローマは今日も雨です・・・
とはいっても、イタリアはヴェネツィアだけではなく、トスカーナやリグーリア州まで大雨が続いていて、学校が閉鎖になる地方まで。
それにくらべたら、まだローマはマシな方なのですが・・・
さて、今日は「加熱に最適なのはオリーブオイルではなくて、グレープシードオイルではないの?」という質問に対して、調べてみました。
エキストラヴァージンオリーブオイルが加熱にもっとも適しているということが、なかなか浸透しないのですね・・・
できるだけわかりやすく、説明します。
グレープシードオイルは加熱に強い?
先日、ラッキーにも珍しく雨が降らなかった日に、トラステヴェレお散歩ツアーに出かけました。
その時にお客様から「加熱料理にはグレープシードオイルが一番いいって聞いて使っているんですが、本当のところどうなんでしょう?」と聞かれました。
私はもう25年くらい加熱にはエキストラヴァージンオリーブオイルと決めているうえに、イタリアではグレープシードオイルはあまり知られていないので、まったくノーマーク。
早速、調べてみました。
そうしたら、このオイルについてはいろんなサイトがいろんなことを言っています。油に強い、とも、油に弱い、とも。
コレステロールゼロでビタミンEがたっぷり!ぶどうの種から作るグレープシードオイル
原材料
その名の通り、グレープシードオイルは、ワインを作ったあとのブドウの種から作られるオイルです。
そのため、イタリア語ではブドウの搾りかすを表すVINACCIOLI
(ヴィナッチョーリ)という単語を使って、オリオ・ディ・ヴィナッチョーリ、と呼ばれます。
イメージ的にはもう一つですね。
ぶどう油の作り方
イタリアの資料を見ると、昔からグレープシードオイルは作られていたのですね。
ワインを作った後のカスから取り出した種なので、まずは急いで乾燥させないと、中の成分がダメになってしまいます。
そして、昔はいろんな方法で圧縮したようですが、なんといっても、種に含まれる油の分量は10~20パーセント(品種による)ですから、押したぐらいでは、ほとんど油は抽出できません。
最近では、一般的には溶剤をつかった高温圧縮法が使われているようです。
日本の大手メーカーのグレープシードオイルも、「 スペイン、フランス等で搾油・精製した油を輸入し、国内で最終精製しています 」とのことです。
やっぱり、重さをかけることによって潰しただけの天然の油オリーブオイルと違って、グレープシードオイルも精製したオイルです。
グレープシードオイルの効能は?
1.コレステロールがゼロ
グレープシードオイルのパッケージには、必ずといっていいほど、「コレステロールがゼロ」とありますね。
確かにコレステロールは、ゼロです。
グレープシードオイルだけではなく、オリーブオイル、えごまオイル、ごま油などすべての植物性のオイルはコレステロールがゼロです。
というのも、コレステロールは人間など動物の細胞組織に見いだされる脂質なので、植物には含まれていないんです!ご安心ください。
2.抗酸化作用が豊富なので、アンチエイジングに!
「ビタミンEやポリフェノールがオリーブオイルよりも豊富に含まれているので、アンチエイジング効果があって、酸化しにくく熱に強い!」
たしかに、ビタミンEやポリフェノールはたくさん含まれてます。さすが、ブドウの種ですね。
どうも加熱に適した、というのは、この抗酸化機能の高さから来ているようです。
たしかにビタミンEやポリフェノールの量が多いと、油の劣化を遅らせることはできますが、加熱に対して強い、とは言えないんです。
ビタミンEをもっとも多く含むひまわり油の発煙温度が160度くらいで加熱に弱いということを見てもわかると思います。
これはのちほど、説明しますね。
どちらが加熱に強い?エキストラヴァージンオリーブオイルとグレープシードオイル成分比較
グレープシードオイル100ml | エキストラバージンオリーブオイル100 ml | |
エネルギー | 830 KCal | 822 KCal |
3411 KJ | 3378 KJ | |
たんぱく質 | 0 g | 0 g |
炭水化物 | 0 g | 0 g |
糖質 | 0 g | 0 g |
脂質 | 92,2 g | 91,3 g |
飽和脂肪酸 | 10,2 g | 14,1 g |
一価不飽和脂肪酸 | 17,5 g | 68 g |
多価不飽和脂肪酸 | 64,5 g | 9,2 g |
コレステロール | 0 mg | 0 mg |
植物繊維 | 0 g | 0 g |
食塩相当量 | 0 g | 0 g |
ビタミンE | 15 mg | 12 mg |
出典:mypersonal-trainer.it |
オレイン酸が豊富だと加熱に強い!
上の成分量を見ると、ほぼ似たような数字が並んでいるのですが、ちょうど真ん中あたりの一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の数字がちょうど反対ですね。
一価不飽和脂肪酸というのは、オメガ9と呼ばれるものでオレイン酸で、多価不飽和脂肪酸というのは、オメガ6と呼ばれるリノール酸です。
どちらとも、全成分中で一番多く約65%前後を占めています。
ということは、エキストラヴァージンオリーブオイルはオレイン酸が豊富で、グレープシードオイルはリノール酸が豊富なオイルといえますね。
実はここが大切なところで、オレイン酸は熱に強い構造を持っていて、リノール酸は熱に弱い構造なんです。
オレイン酸が豊富なのはオリーブオイルで、そのほかの植物オイルはオレイン酸の量が少ないので、加熱に対して弱いんです。
そのために熱を加えると、たいてい160度くらいで煙がでて、酸化してしまいます。
ちなみにオリーブオイルは210度くらいなので、200度くらいの温度の天ぷらには十分大丈夫です。
精製したグレープシードオイルは加熱に強い!でもトランス脂肪酸の危険も
ここまで、グレープシードオイル、オリーブオイルの成分で見てきましたが、確かに、加熱に強いグレープシードオイルもあるんですよね。
それは安定性を高めたり、嫌な匂いを消すために精製加工したグレープシードオイル。
グレープシードに限らず、ピュアのオリーブオイルでも、キャノーラ油でも、一度精製したオイルはかなりの高温にも耐える揚げ物に適したオイルになります。
ただ、問題はトランス脂肪酸。
アメリカのFDA(食品医薬品局)は、近年、トランス脂肪酸は心臓病や脳卒中のリスクを高めると、厳しい規制をしいています。
トランス脂肪酸は、油を高温で加工する間に、自然の脂肪酸が変質することによって生じるのです。
マーガリンやショートニングだけじゃなくて、精製した油にも含まれているんです。
一方、熱を加えずに、ただ力を加えて搾っただけの天然のオイルには、トランス型脂肪酸はゼロです。
だから、なるべく加工度の低い自然なオイルを選ぼうと思うと、エキストラヴァージンオリーブオイルにたどり着くのです。
まとめ
調べてみた結果、リノール酸が多い自然のグレープシードオイルは加熱料理には適していません。
「加熱に最適なのはオリーブオイルではなくて、グレープシードオイルではないの?」 の答えは、NO!
オレイン酸を豊富に含むエキストラバージンオリーブオイルが、ずっと発煙温度が高く、揚げ物などの加熱料理に最適です。
もし、高温でも劣化しないグレープシードオイルは、ピュアなオリーブオイルのようにすでに高温で精製されたオイルです。
精製した油のメリットは、揚げ物に適していることと安いこと。
でも天然の自然なものではないことと、トランス脂肪酸の危険ですね。
大切なのは、知っていて選んでいるかどうかということです。
エキストラヴァージンオリーブオイルではないですが、油を買う時も、必ず製法や原料、成分などが書かれたラベルを確認する癖をつけたほうがいいですね。
私は、たくさん使いたいから安い油を選ぶのではなくて、使う量を抑えていい油を使う習慣をつけたいな、ってしみじみ思っています!
参考になれば幸いです。
どうぞよい一日を!
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