ボンジョルノ。今日は日本の偽物オリーブオイルについてです。
日本のサイトでオリーブオイルとググってみると、偽物という言葉がたくさん出てきますね。これじゃあ、オリーブオイルに対して不信感を持ってもしょうがない、という感じです。
でも実際に日本のオリーブオイルについて調べていくと、本当に偽物が多く出回っているという結論に至りました。
実は日本には、オリーブオイルだけでなく輸入品全般に法律的な抜け穴がたくさんあるのです。そのために合法的に偽物のオリーブオイルをエキストラヴァージンオリーブオイルとして販売できるようになっているのです。(涙)
高いお金を出してエキストラヴァージンオリーブオイルを買ったものの、独特の風味が苦手だと思った方や、独特の香りがなくてあっさりして使いやすい、と思った方や、これって本物?と不思議に思った方は必読です。
偽物エキストラヴァージンオリーブオイルのカラクリについて、しっかり説明します。
「そのオリーブオイルは偽物です!」は本当だった!
私が前から疑問に思っていたこと。
どうして日本オリーブオイルソムリエ協会の会長である多田俊哉氏が「そのオリーブオイルは偽物です」という本を書いたのか?
日本にエキストラヴァージンオリーブオイルの魅力を広めるのではなく、どうしてこういうネガティブキャンペーンのようなことを行っているのか?もったいないな、なんて思ってました。
ところが、先日、多田氏のインタビューの記事を読んでいるうちに、はっと思い当たったのが、偽物オリーブオイルのからくり。
多田氏が指摘するとおり、店頭に並んでいる商品の8割は偽物かもしれません。そうすると会長として消費者に警鐘を鳴らす意味でも、こういうタイトルの本を書かざるを得なかったのだな、と腑に落ちました。
確かにアマゾンとかの商品レビューを読んでいると、「オリーブオイルの独特の風味が苦手」とか、「香りが少なくてあっさりしていて使いやすい」というような感想をよく見かけます。
エクストラバージンオリーブオイルには、オリーブの実のフルーティな香りがあります。よい香りがあるから、エクストラ(特別な)バージン(一番しぼり)のオリーブオイルなのです。
もし独特な変な香りがするのなら、それは劣化したオリーブオイル。
香りがなくてあっさりしているのなら、精製したオリーブオイルを混ぜられているか、古いエキストラヴァージンオリーブオイルです。
上質なエキストラヴァージンオリーブオイルの特徴は、オリーブの実のフルーティな香りがして、舌にピリッとした辛味と苦味があることです。
ぜひ、お持ちのエキストラヴァージンオリーブオイルの味を確かめてみてください。
世界中に偽物エキストラヴァージンオリーブオイルがあふれている
まず一つ目の原因は、日本だけではありません。
世界中にエキストラヴァージンオリーブオイルの偽物があふれていること
すごく残念なのですが、実際にイタリアでも偽物があふれています。
ここでいう偽物とは、欠陥エキストラヴァージンオリーブオイル、つまり、エキストラヴァージンオリーブオイルの基準を満たしていないのに、エキストラヴァージンオリーブオイルとして売られているものです。
でも、イタリア人も本物でないのを知っているのに買っています。なぜなら、値段が恐ろしく安いからです。本物じゃないかもしれないけれど、安いから仕方がない。私も加熱用に使ってました、以前は。
でも安いし、テレビのCMでもやってるし、大企業だからそんなに悪いもの売らないよね、という感覚です。(でも多国籍企業って、利益を上げて企業を大きくすることが企業目的なんですよね。)
ただイタリアでは安いかって納得して買う人が多いけれど、日本では偽物の安物が高く売られていることがあるから、悪質です!
ちゃんと生産者を確認するべき、というのはこのことです。参考までに偽物メーカーの話題も書いておきますね。
テレビ番組でスーパーのメーカーを抜き打ち検査した結果
少し前ですが、2016年にスイスのテレビ番組で、スーパーで売られている12銘柄のエキストラヴァージンオリーブオイルの抜き打ち検査がありました。チューリッヒで2人のオリーブオイル鑑定士と化学者が調べました。
その時の結果は、6つのメーカーは本物、逆に残りの6つのメーカーは絶対にエキストラヴァージンオリーブオイルではない、と断定されました。
ちなみに、私のエキストラヴァージンオリーブオイルの学校の先生は、こうした抜き打ち検査を否定していました。あくまでも検査は、出荷する前のもので、スーパーの売り場に並んでいる場合は、スーパーの保存管理の問題、運搬の問題もあるので、一概には言えない、と。なので、参考までに。
本物のエキストラヴァージンオリーブオイルは?
- サボSabo 100%Italiano(Olearia clemente),
- グラン・デリツィアGran Delizia Igp Toscano,
- モニーニ・クラシコMonini Classico,
- イル・プリマ・ドンナil Prima Donna,
- イル・ビオ・ナチュール・プルスil Bio Natur plus(Dop Umbria 100% ),
- イル・クアリテ・エ・プリil Qualité&Prix (スイス Coop)
偽物と断定されたエキストラヴァージンオリーブオイルは?
・デ・チェコ・クラッシコ(De Cecco classico):酸化したような悪い油のにおいがする
・カラペリ・クラッシコ(Carapelli Classico):油に熱が加わって発酵したような匂いがする
・ベルトリ・オリジナーレ(Bertolli Originale):泥やカビのような匂いがする。発酵しているし酸化もしている。
・このほかフィリッポ・べリオ(FilippoBerio)とスイスの2メーカー、Olivana eとM-Budget.
偽物は大手企業のメーカー!スペインに中国まで
上の偽物のリストで特に注意してほしいのがカラペリとベルトリ。やっぱり、イタリア産って思われる方も多いでしょうが、実はどちらともスペインの巨大油メーカー、Deoleo S.Aグループのブランドなんです。
カラペッリ、ベルトリだけではなくて、こちらも偽物疑惑で名高いサッソ(Sasso)。それからカルボネール(Carbonell)、 San Giorgio(サン・ジョルジョ)も同じDEOLEOグループ企業の一員です。ダンテ(Dante)も一時期、このグループ。ベルトリは世界で一番売れているエキストラヴァージンオリーブオイルとHPに書かれています。
そしてイタリアではほとんど見かけないフィリッポ・べリオは、なんと中国企業。世界で二番目に売れているエキストラヴァージンオリーブオイルだそうですね。
あと、デ・チェコ。これはイタリアの大手パスタメーカー。オリーブオイルのメーカーではないですものね。
どこの国が、というわけではないけれど、誰が作って販売しているか、知っておいた方がいいですね。
偽物でも合法的にエキストラヴァージンオリーブオイルになれる!
日本は国際オリーブオイル協会ではなくて独自のJAS規格を使っていること、そして輸入品に関する法律が特殊なので、日本国内では合法的に外国の偽物オリーブオイルを販売できるということに気が付きました!
国際的には酸度2.0%は偽物エキストラヴァージンオリーブオイル!日本では本物!
偽物のからくりの2つ目は、エキストラヴァージンオリーブオイルの基準が違うということ。
国際エキストラヴァージンオリーブオイル協会では、本物のエキストラヴァージンオリーブオイルの基準として、酸度が0.8%以下。0.8%以上2.0%以下の場合はヴァージンオイルと規定しています。
ところが日本のJAS規格では、酸度が2.0%以下であれば食用オリーブオイルと名乗れるのです。つまりエキストラヴァージンオリーブオイルの規格がないので、酸度が2.0%以下であれば商品名にエキストラヴァージンオリーブオイルをつけて食用油として販売できるのです。
私は当初この説明を見たときに、例えばカラペリなどは偽物でもエキストラヴァージンオリーブオイルとしてイタリアでも販売しているのだから、別に関係ないじゃない?と思ってました。
ところが関係ありありです。
例えば、私がイタリアの友人のオリーブオイル生産者から酸度が0.8%以上2.0%以下のヴァージンオリーブオイルを買うとします。そしてイタリアで瓶詰めします。
このイタリアで瓶詰めしたヴァージンオリーブオイルは、日本でイタリア産エキストラヴァージンオリーブオイルという表記で販売することができるのです。酸度は2.0%以下ですから、ちゃんと合法です。
このことにやっと気づいて恐ろしくなりました。やっぱりどういう人が作って、どういう人が販売しているか知らないと危険ですよね。だって合法ですから。
偽物イタリア産エキストラヴァージンオリーブオイルも日本では本物
最後の3つ目は、産地偽装。
エキストラヴァージンオリーブオイルというラベルを貼るからには、当然産地の記載が義務付けられています。
オリーブの実がすべて同じ国のものの場合、その国の名前を付けれます。例えば、イタリア産、ギリシア産、スペイン産。
オリーブの実がEU内の複数の国のものの場合、EU内のオリーブオイルの混合、EU加盟国とEU加盟国外のオリーブの実を使っている場合、EU内とEU外のオリーブオイルの混合、と記載しなければなりません。
エキストラヴァージンオリーブオイルは収穫から72時間以内には採油しなければいけない性質のものですから、原材料が二か国以上にわたっているというだけで、だいたい、どういうオリーブオイルかわかりますよね。
ところが、日本の法律では、イタリアから輸入したオリーブオイルは、イタリア産、と記載できるのです。
正確に言うと、最終的に加工した国が産地なのです。つまり、原材料にかかわりなく、瓶詰めした国を原産地と合法的に記載できます。
チュニジアとギリシア、トルコのオリーブオイルをイタリアで瓶詰めした場合、イタリア国内では、EU内とEU外の混合オリーブオイルと記載しなければなりませんが、日本では原産国イタリア、と表記できるのです。
別に絶対にイタリア産がいい、というつもりはないですが、イタリア産だと思ってそれなりの金額を払ったのに、二か国以上のオリーブが混ぜ合わされたオリーブオイルだったなんて、ひどい話です。
でも、最後の加工国が産地と表記できるので、産地偽装でもないんです。結構、私にとっては衝撃でした!
まとめ
こうしてみると、「そのオリーブオイル偽物です」という本に書かれているように、日本のオリーブオイル市場に偽物オリーブオイルが多く含まれている可能性は非常に高いと思いですよね。
その理由は、次の3つの理由によるものです。
1.世界中に蔓延している偽物オリーブオイルが日本にも輸入されている。
2.日本ではヴァージンオリーブオイルでもエキストラバージンオリーブオイルとして販売できる。
3.瓶詰した国が原産国。実際のオリーブの実がどこから来たのかという表記がない産地偽装。
では、どうしたら、本物のエキストラヴァージンオリーブオイルを選べばいいか?というと、やっぱり、日本オリーブオイル協会の会長がおっしゃるように生産者を選ぶにつきますね。
もちろん、小規模でまじめにやっている優秀な生産者もいますが、日本で情報を調べるのは大変です。そのためコンクールでの受賞歴があったり、DopやIgp、オーガニック認証されている生産者を選ぶと安心です。
あとは本物を使っていると、偽物がすぐわかるようになります。
我が家でも、私が揚げ物用に買っていた1キロ10ユーロ以下のモニーニのエキストラヴァージンオリーブオイルを、先日、私の留守中に夫が料理に使った時のこと。「すごく嫌な匂いがしたよ、悪くなってるんじゃない?」と夫と子供たち。
実はオリーブオイルのソムリエになる前は、加熱用に使っていたメーカーのもの。すっかり上質のエキストラヴァージンオリーブオイルに慣れてしまったので、子供たちでも独特の変な風味がすぐわかるようになるんです。嗅覚は訓練で上達するんです!
本物のエキストラヴァージンオリーブオイルの味を知るために、フロスオレイで100点満点だったオリーブオイルをぜひ試してみてください。
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