イタリア料理に欠かせないオリーブオイル。今では日本の食卓にもすっかり定着して、普通のスーパーマーケットでも、いろんなオリーブオイルが簡単に手に入りますね。
日本で売られているオリーブオイルは、大きく分けて「エキストラバージン」と「オリーブオイル(ピュア)」の2種類あります。同じオリーブオイルと言っても、値段が全然違うように中身も大きく違います。
では、何がどう違うのか?どう使えばいいのか?といった素朴な疑問について、イタリア在住のオリーブオイルソムリエがわかりやすく解説します。
オリーブオイルの誤解!
オリーブオイルについて「エキストラバージンは生食用でオリーブオイル(ピュア)は加熱用」という記事を見かけたことがありませんか?実はこれ誤解なんです。
なぜかというと、エキストラバージンオリーブオイルは自然の植物性の油の中で特に熱に強いという性質があります。天ぷらや揚げ物をする温度(220度くらい)まで加熱しても煙が出ず、油が酸化したりしないので、揚げ物などの加熱に一番適した油です。生食にだけ適したオイルではないのです。
では、どうしてこうした誤解が広まっているのでしょうか?まずは、エキストラバージンオリーブオイルとは、どういう油かご説明します。
エキストラバージンは上質なオリーブの一番搾り!天然のオリーブジュース!
特別を意味するエキストラバージン
エキストラバージンオリーブオイルは、一言でいうとオリーブの実の天然ジュースです。上質なオリーブの実以外には他の材料を全く加えずに、押しつぶしたり砕いたりしてしぼった最高級のオイルです。
「オリーブの一番しぼり」と言われるバージンオリーブオイルの中でも、最高品質のものだけが、エキストラ(特別な)という形容詞がついたエキストラバージンオリーブオイルのラベルを表記することができます。
オイルの品質は酸度で決める
エキストラかどうかという基準は、オイルの酸度です。酸度と言っても、味が酸っぱいわけではないのでご注意ください。オイルの新鮮さを計る基準で、エキストラバージンオリーブオイルは酸度が0.8%以下のもの、バージンオリーブオイルは2.0%以下であると決められています。
酸度が0.8%以下のエキストラヴァージンオリーブオイルには、オリーブの実の多くの有効な成分、黄色から緑色のオリーブの実の色、オリーブの実の香りも残っています。フルーティな香りを楽しむことができるのも、エキストラバージンオリーブオイルだけの特徴です。
エキストラバージンオリーブオイルの楽しみ方
生でそのまま!上手に組み合わせると料理がもっと美味しくなる!
エキストラバージンオリーブオイルを、生のままで口にすると品種や産地によって生まれる香りと味をはっきりと楽しめます。私はこの1年、200種類くらいのエキストラバージンオリーブオイルを飲んでみたのですが、同じものは一本もありません。刈りたての芝生のような香り、青リンゴのような香り、トマトのような香りなど、どれもそれぞれの独特の味わいを楽しむことができるのです。
ソースやお醤油のように、グリーンサラダにはこのオイル、カルパッチョにはこのオイル、といった具合です。トマトソースのスパゲッティにも、ボンゴレのスパゲッティにも、それぞれ相性の良いオイルをたらりと仕上げにかけると、ぐんと料理の味が美味しくなります。料理を美味しくする魔法の調味料です。
しかも、天然のジュースだけあって、油っぽさはまったく感じられません。生で美味しく飲める唯一のオイルなのではないでしょうか。
高温でも大丈夫!加熱にも適したマルチなオイル!
生食に適しているといっても、先ほど説明したように加熱に向かないというのは全くの誤解です。植物オイルのなかでも特に熱に強いので、トランス脂肪酸の心配をせずに揚げ物ができる贅沢なオイルです。エキストラバージンであげると、カラッと美味しく揚がります。
時々「エキストラバージンは熱に弱い」というデマをネットで見かけます。どうしてこういう誤解が生まれるのか考えてみたのですが、それはエキストラバージンオリーブオイルの冷温抽出、という製法によるもののかもしれません。
上質なエキストラバージンの生産者は貴重な栄養素、味や香りを守るために、27度以下の温度で抽出します。これは、スムージーとかでも同じことですよね。なるべく熱を加えずにしぼりますよね。でも、これと熱に弱いかどうかは別のことです。オイル自体は高温でも状態が変化しないので、加熱に適しています。
ビタミンCたっぷりの爽やかな香りのしぼりたてオレンジジュースを加熱して飲むなんて、もったいない、という感覚と似ているかもしれません。
精製したピュアオリーブオイルは加熱に強い
ピュアの原料はランプ用オイル
では加熱用といわれるピュアオリーブオイルは、エキストラバージンとどう違うのでしょうか?それは原料のオリーブの実にあります。
「オリーブオイルの一番しぼり」といっても、すべてが上質なものとは限りません。木から地面に落ちたオリーブの実、虫食いのオリーブの実、傷んだオリーブの実、木から収穫した後に何日も袋の中で放っておかれたオリーブの実などを使った場合、エキストラバージンやバージンオリーブオイルはできません。
バージンオリーブオイルは酸度が8%以上2%未満。これよりも酸度が高くなる場合、2.0%を超えてしまったオイルは、食用ではなくランプ用のオイル(ランパンテ)という部類に分類されます。
むかし電気がない時代にあかり用に使われていたオイルですが、ランプを使わない現代ではピュアオリーブオイルの主原料に使われています。
サラダオイルと製法が同じ!ピュアオリーブオイル
ランプ用のオイルを高温で化学的な溶剤を加えて精製すると、無味無臭無色なオイルができあがります。言うならばサラダオイルの一種です。この味も香りもない透明なオイルにエキストラバージンオリーブオイルかバージンオリーブオイルを加えて風味付けをしたのが、ピュアオリーブオイルというわけです。
ピュアオイルには、ランパンテオイルとバージンオリーブオイルをどのくらいの割合で配合したらいいかという決まりはありません。ラベルにも配合について記載されていないので、どのくらいの割合で混ぜられているかは、メーカー次第です。
ピュアだって生でも加熱でも!
ではピュアオリーブオイルをどう使うかですが、実はこのオイルも生でも加熱でも使えます。定説どおり高温に強いので揚げ物に最適です。値段が安い分、気兼ねなく使えるという利点が人気ですね。
一方、ピュアは味も香りもほとんどないので、わざわざ生で食べる意味があまりないと思います。でも、だからといって、生食に使えないわけではありません。これまでのサラダオイルと同じ感覚で使われるのであれば、生で使っても問題はありません。
オリーブオイルは体にいい?エキストラバージンとピュアの違いは?
オリーブオイルにはオレイン酸がたっぷり
では、栄養成分についての違いはどうでしょう。オリーブオイルは体にいい、という理由で、使っている方も多いと思います。
オリーブオイルは、他の植物油と違ってオメガ9のオレイン酸が多く含まれています。オレイン酸の特徴は酸化しにくい安定していることです。そのために、高温で使っても、簡単に劣化しないのです。また悪玉(LDL)コレストロールを減らし、善玉(HDL)コレストロールを増やしてくれるという、素晴らしい働きをしてくれます。
イタリアやギリシアなどの人々は、オリーブオイルをふんだんに使った地中海ダイエットをしてきたので、動脈硬化などの心臓系の病気が少ないというのは、世界中の常識ですよね。オリーブオイルは科学的にみても体にいいオイルなのです。
エキストラヴァージンオリーブオイルには、ポリフェノールが豊富!
しかも、良質な新鮮なオリーブの実を使ったエキストラバージンオリーブオイルには、オレイン酸だけではなく、アンチエイジングにかかせない美肌効果もあるポリフェノールやスクワランなどの抗酸化物質が含まれているのです。
最近では、上質なエキストラバージンオリーブオイルはガンを予防するとか、認知症に効くとか、いろんな研究が続けられています。ただのオイルというより、自然のお薬、サプリメントのようです。
エキストラバージンオリーブオイルは心臓病を予防する
実際に、欧州食品安全局(EFSA)は、2011年に「オリーブポリフェノールのオレウロペインは抗酸化作用があり、血中コレストロールから体を守る」と正式に発表しています。
2018年秋には、アメリカの食品医薬品局(FDA)が「オレイン酸を70%以上含むエキストラバージンオリーブオイルは心臓によい」、とラベルに表記することを認めています。心臓病の予防に「1日スプーン2杯のオリーブオイルの摂取」を勧めてもいます。
まさにエキストラバージンオリーブオイルは、体にいい成分がたっぷり入った魔法のオイルです。しかも添加物などが全く入らない自然食品なので、だれでも安心して使うことができるのです。
体にいいからオリーブオイルを使いたい、という方には、絶対エキストラバージンオリーブオイルがおすすめです。特に生で使うと、オリーブオイルの持っている風味まで美味しく楽しめます。
ピュアはサラダオイルと同じ感覚で!
「普通に炒め物や揚げ物に使うオイルを探している」という方はピュアのオリーブオイルが値段も安価でおすすめです。ピュアオリーブオイルは、普通のサラダオイルと同じような位置づけですね。
まとめ
同じオリーブオイルと言っても、材料の品質も製法も全く違うエキストラバージンとピュアオイル。両者の違いがおわかりいただけたでしょうか?どういう使い方をするかに合わせて選んで楽しんでくださいね。
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