ボンジョルノ!今回は数あるローマの世界遺産の中でも私が最も大好きなパンテオン神殿についてご紹介します。
すべての神々のために捧げられたパンテオン神殿は、118年にハドリアヌス帝によって建てられました。なんと1900年前!
ここでは私のおすすめ観光スポットであるパンテオンの歴史、見どころ、入場方法などをご紹介します。
古代ローマ建築の完全なる遺構パンテオンの歴史
ローマの中心地は昔ながらの細い小道が迷路のように入り組んでいます。昔ながらの路地を歩いていると、突然現れる巨大な遺跡パンテオン。
まさに、これがローマです。
創建は紀元前27年。火災による消失で現在の形に再建されたのが118年。気が遠くなるような時間の流れです。
先日、沖縄の首里城が火事のために焼け落ちたという悲しいニュースを見たとき、ついパンテオンを思い出してしまいました。
木造であるために美しかった首里城ですが、まるで映画のワンシーンのように焼け落ちていく光景に唖然としてしまいました。
パリのノートルダム寺院の火災の時もびっくりしましたが、木造の最大なる難点ですね。
創建時のパンテオンがどういうものだったかは記録がありませんが、2000年近くも前にコンクリートを使って再建した古代ローマ人の逞しさをしみじみ感じてしまいました。
イエスキリストではなくすべての神々へ捧げるために造られた神殿パンテオン
パンテオンは起源前27年に初代ローマ帝国皇帝アウグスティヌスの片腕だったアグリッパによってすべての神々へ捧げるために建てられました。
当時はキリストが生まれる前で、まだキリスト教ではなく人々はローマ神話の神々を信仰していました。
ローマ神話はギリシア神話のようなもので多神教です。火の神様や豊穣の神様など、日本の八百万の神様のといったほうがわかりやすいですね。
ハドリアヌス帝によるコンクリート建築での再建
最初のパンテオンは、火事で焼失したそうです。ということは、まだ木造だったのでしょうか?
再建したのはハドリアヌス帝。ローマの平和の時期の5賢帝のひとりで、広大な帝国領を視察して回り、ローマ郊外にヴィラ・アドリアーナという自分の旅の記憶を再現する巨大な別邸を作った皇帝です。
ギリシア文化の愛好者で独創的な感覚の持ち主で、アンティノウスという美少年を寵愛していたことから、同性愛者だったとも言われます。
ハドリアヌス帝もそうですが、古代ローマ史には興味深い人々が多く登場します。時間があれば、旅行前に塩野七海さんの「ローマ人の物語」を読んでみることをおすすめします。
ハドリアヌス帝がパンテオンの再建に着手したのが118年。レンガとローマ風コンクリートによる現存する最大の石造り建築です。
当初、どういうデザインだったのかは、いまだに議論があるところですが、ほかに類をみない前衛的な見ないスタイルは、ハドリアヌス帝のオリジナルであったのでは・・・
内部も必見!完全なる均衡の美と調和の巨大建築
外観だけで、十分、迫力のあるパンテオンですが、ぜひ、中へ入ってみることをおすすめします。世界に類を見ない唯一無比の建造物です。
世界最古のクーポラ
まず、パンテオンの入り口の部分。幅が33.1m、奥行15.5mの広いスペースに、4.5mの太さの花崗岩の柱が16本も並んでいます。
そして巨大な青銅のドアを通って中に入ると、直径43メートルの完璧な球形がすっぽり入る完全な調和のとれた空間です。
天井は巨大なクーポラ。今から1900年前に、柱を一本も使わずに丸屋根を作り上げた古代ローマ人の技術に、ただただ目を見張ってしまいます。
そして、頂上の直径9メートルの穴が唯一の明り取り。常にその時々の空の色、光が見えるという粋な設計です。
建築家の安藤忠雄さんは若き頃にパンテオンを見て、建築家になることを志したそうですね。
ラファエッロの墓とキリスト教の祭壇
古代ローマの建築物の中で、最も保存状態がいいパンテオン。
実は皮肉なことに、すべての神々を祀った建物が、7世紀にカトリックの教会堂転用されたために、破壊を免れて、当時の姿を私たちに残してくれたのです。
正確な名称は、サンタ・マリア・ア・マルティリオ教会。殉教者のための聖母マリア教会です。
現在でも、内部ではキリスト教のミサが行われています。
そのため教会につきもののお墓もあります。
一番有名で常に人だかりがしているのは、ルネッサンス時代を代表する芸術家ラファエッロの墓。
そしてイタリアを統一したサヴォイア家のヴィットーリオ・エマヌエレ二世、その息子のウンベルト1世などの荘厳なお墓があります。
入場方法
パンテオンは教会で、信者の祈りの場なので、入場料は無料です。中では、あまり大きな声を出さないようにしましょう。
ローマへ住み始めたころ、私はパンテオンの近くに住む、という幸運に恵まれたことがありました。前を通りかかるたび、一日に何回でもパンテオンに入っていました。そのくらい大好きな空間です。
ところが、あれから20年近くたって、ふらりと入るなんて、すごく難しくなってしまいました。いつでも広場に行列ができています。
入場方法といっても、列の後ろに並んで、そのまま入るだけ。
正面向かって右側が入場で、左側が出口になってます。右側には、必ず係員がいます。
少し待てば入れるので、絶対に中へ入ってみてください。
パンテオン(PANTHON)
住所:Piazza della Rotonda(ピアッツァ・デッラ・ロトンダ)
開館時間:平日8時30分~19時30分
日曜9時~18時
祭日9時~13時
休館日:1月1日、5月1日、12月25日
入場料:無料
まとめ
ローマの数ある観光地の中でも大好きなパンテオン。古代ローマの偉大さを一番、実感できる場所です。
ローマの中心にあるので、結構行きやすいです。というか、ナボーナ広場を目指いしていると、偶然、行き当たることもあると思います。
ぜひ、中へ入ってみてください。
もし、時間があれば、周囲を一周してみてください。正面とはまた違う表情で、いいですよ~。