ボンジョルノ。
さて、今日はイタリアを代表する美味しい食材のひとつ、生ハムについてご紹介します。
最近では日本でも、美味しい生ハムがいろいろ手に入りますね。スペイン産のハモン・イベリコから日本産の生ハムまであるのですから驚きです!
とはいっても、イタリアの生ハムは2000年以上の長い歴史がある本家門元です。
昨年の生産量は、284.900トン!輸出量でも世界トップです!
ここでは作り方にこだわったヘルシーなイタリア産のDOP生ハムについて、イタリア人の食べ方についても合わせてご紹介します。
2000年前の古代ローマ人もイタリア産生ハムを食べていた!
長い歴史のあるイタリア産の生ハムは、起源が古代ローマの前、イタリア中部を統治していたエトルリア人だと言われていて、紀元前6~5世紀ころのこと。
そして、古代ローマ時代に貴重な保存食としてさらに盛んに作られるようになりました。
紀元前2世紀に書かれたカトーの「農業論」には、豚の保存方法として生ハムの作り方が書かれているほどです。
古代ローマの時代に作られていたのですから、作り方はいたってシンプル。豚肉に塩漬けをして、乾燥させただけです。
イタリアの気候は添加物を使わなくても、自然に乾燥、保存できるのです。
作り方にこだわったDOPの生ハムは、無添加で安心な食材
ハム類には、発がん性物質だと言われている発色剤の亜硝酸ナトリウムなどの添加物や塩分が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
私も食品添加物をなるべく取らないような料理を心がけているのですが、子供たちはやっぱりハム類が大好きです(もちろん私も)。
なので、一番多く登場するのがDopの生ハムです。
なぜならイタリアのDopの生ハムはきちんとした規定に従って作っているので、添加物フリーで安心な食材なのです。
地域ごとにいくつもDopの生ハムがありますが、特に有名な3つの生ハムDopをご紹介します。
パルマDop
生ハムの王様とでもいうべき王冠が目印のイタリア産Dopの生ハム、パルマ。
世界三大生ハムの一つと言われているそうです。
イタリア国内でも一番有名な生ハムで、ローマでも簡単に手に入ります。
産地はイタリア中部のエミリア・ロマーニャ州にあるパルマ。
ここはパルミジャーノ・レジャーノを始めとして、ラザニアや手打ちパスタなど美味しいものの宝庫とでもいうべき食の都です。
パルマ産の生ハムの作り方
パルマ産の生ハムを名乗るためには、パルマ生ハム協会に認定された養豚所で飼育された豚を原料とすること。
この豚たちは、パルミジャーノ・レッジャーノを作るときの副産物、乳清を食べて育つんです。なんと贅沢な!
そして、9か月以上の150Kgの体重のある豚のみを使って、パルマの指定された地域内の工場で、生ハムに加工されるのです。
化学的なものを一切使わないので、海塩が唯一の保存料というのが伝統のレシピです。
熟練された職人たちによる手作業で、一つ一つの工程を経て大切に熟成させていくのです。
パルマの生ハムの特徴
パルマの生ハムは、イタリアで「甘い」生ハムと表現されるくらい、しょっぱくないのが特徴。
パルマの独特の気候が、少ない塩分で上手に乾燥することができるのです。
しかも、パルマ産の生ハムの熟成期間は最低12か月。
ゆっくりとした時間の流れが、甘く柔らかい独特の生ハムに仕上げてくれるのです。
パルマ産の生ハムの中でも、特にランギラーノ地区で作られたものが有名です。
サン・ダニエレDop
サン・ダニエレは、オーストリアの国境近い北イタリアにあるフリウリ・ヴェネツィア州の小さな町です。
パルマのほうが有名ですが、イタリア国内ではサンダニエレのほうが希少価値があって値段も高いので、少し高級なイメージです。
それもそのはず、パルマ産に比べて生産量は約3分の1。
高い品質を守るために大量生産をせず、31の生産者によって作られています。
サン・ダニエレの作り方
サン・ダニエレはイタリアの指定された10の州で育った12㎏以上の体重の豚を材料にしています。
まずは、塩漬けにした後、まんべんなく塩をまぶしてプレスをかけるのがサン・ダニエレだけの特徴です。こうすることによって、塩がまんべんなく肉全体にいきわたります。
塩がしっかりとまぶされたまま、3~4か月熟成させます。
そのあと、洗って乾かして、皮に覆われていない部分にラードと米粉をベースにしたものをしっかりすりこんで、また熟成。
作り始めてから、熟成が終わるまで約13か月。
熟練した職人さんの絶え間ない作業の元、芳醇な味わいの生ハムができあがるのです。
サン・ダニエレの特徴
出来上がった生ハムはサン・ダニエレ生産者組合の厳格な検査を受けた後、認定マークを押されます。
それ以外にも、生ハムを作り始めた日付、そして生産者のマークが押されています。きちんと、生産者の顔が見える生ハムなのです。
また、サン・ダニエレは豚の足の蹄が残っているのが伝統です。このほうが、水分を蒸発させるのに便利だそうです。
ちょっとぎょっとしてしまいますが・・・
サン・ダニエレは北側はアルプス山脈がありますが、東側からアドリア海の暖かい風が届く特殊な気候です。
この土地だからこそ生み出すことができる気候が、類を見ない美味しさの生ハムを生み出しているのです。
トスカーナDop
トスカーナDopは最近、人気が上昇している生ハムです。
トスカーナの生ハムは、1996年にDop認定を受けているにも関わらず、私の住むローマでは売られていませんでした。
伝統的に生ハムといえば、パルマやサン・ダニエレでわかるように、アペニン山脈以北のものが上質とされていました。
北の乾いた空気が、少ない塩分で上手に乾燥してくれるのです。
ところが、ローマやトスカーナの生ハムは、塩を多く使わないと上手に熟成できないので、塩分が多くしょっぱいのが特徴。
それが、逆にお酒に合うと今は人気なようです。
しかも、トスカーナブランド。
オリーブオイルでもそうですが、トスカーナ産、というとなんでも売り上げがいいと言われます。
そして、トスカーナDopの規定改定によって、添加物がフリーになったのです。
不思議なことに、トスカーナDopは製造の過程で亜硝酸塩ナトリウムを使うことが生産者組合のDop規定で認められていたため、同じDop認定とはいえまったく別物でした。
最近、ようやく他のDopのように無添加なので、安心して食べられる生ハムになったということも大きいと思います。
そのほかのイタリア産Dopの生ハム
- プロシュット・ディ・モデナ(エミリア・ロマーニャ州)
- プロシュット・ヴェネト・べリコ-エウガーネオ(ヴェネト州)
- ジャンボン・デ・ブッセー(アルト・アディジェ州)
- プロシュット・ディ・カルペーニャ(マルケ州)
- クルド・ディ・クーネオ(ピエモンテ州)
いろいろ食べ比べてみたいものですね。
生ハムの美味しい食べ方
イタリア風の生ハムの美味しい食べ方、というと、お皿にどん!と豪快に盛って、というのが一般的。
生ハムそのものをしっかり味わうのです。
ちょっと前菜にという時は、
前菜と言っても、あくまで、手をかけずに簡単に。
それでも、美味しいからあっという間になくなっちゃいますね。
イタリアでの生ハムの使い方で一番多いのは、パンにはさんだ生ハムパニーノ。子供のおやつの定番です。
学校のおやつの時間のために、家から持っていくのですが、サラダ入りの生ハムパニーノを持たせるのは、これまでの我が家の子供たちのクラスの中で、私だけだそうです。
生ハムだけだとしょっぱいと思うのですが・・・
私の夫は、生ハム目玉焼きが得意料理です。
ピザの上にのせるのも、もちろんありです。
ルッコラとモッツァレッラを一緒にのせて、サラダ風ピザに。
まとめ
イタリア産のDop生ハムは、ハムなのに嬉しい無添加で美味しい食材です。
パルマやサン・ダニエレは塩分も少ないので、塩分を気にせず食べられます。
いろんな種類の生ハムを試して、お気に入りの味を探してみてください。
食べ方については、それ自体がおいしいので、あまりいろいろ手をかけずに、豪快に楽しんでくださいね。
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