
炭水化物を食べたら太ると思ってませんか?
パスタやパン、ピザ、そして私たち日本人の主食ごはんまで、昔から日常的に食べている炭水化物ですが、最近ではダイエットの敵かのような扱いをされることもしばしば。
でも、このたび美食の街、イタリア、パルマから炭水化物が大好きな人のための嬉しい研究論文が発表されました。ご紹介します。
パスタを毎日食べても太らない!
今回の調査は、イタリア北部にあるパルマ大学の食品医薬品科学部の人間栄養研究所で73人の肥満患者を対象に、1年間にわたって行われたものです。
患者さんを、
ひとつはパスタを週に5回以上食べるグループ、
もうひとつは、パスタは週に3回以下で、
パンやそのほかのシリアルを食べるグループにわけて、
体重がどう変わるかという変化を測定しました。
二つに分けたと言っても、どちらもパスタやパンという、
イタリアで昔から食べられてきた高炭水化物を中心にした、
地中海式ダイエットの食事です。
この食事療法で、6か月後に調べると、
パスタを週5回以上食べるグループが、平均10%減量成功
パスタが週3回以下でパンを食べるグループが、平均7%減量成功
わずかですが、パスタグループのほうがより多く減量してますね。
そして、最終的に1年経っても、リバウンドせずに減量に成功しました!
地中海ダイエットに基づく食事
とはいっても、被験者の方々はやみくもに炭水化物ばかり食べていたわけじゃない、というところもポイントです。
パスタメーカーが母体のバリラアカデミーが、検査対象の方々の習慣や好みに合わせて考案した特別メニューを食べていたんです。
要は、パスタなどの炭水化物が太るわけではなくて、どういうものと一緒に食べるかが問題なんですね。
今回、こんなに炭水化物を食べてもダイエットに成功できたのは、地中海式ダイエットに基づいた低カロリーな食事だったからです。

地中海ダイエットでは、食事ピラミッドの底辺に炭水化物があって、毎日たくさん食べる基本の食事とされていますが、今回の調査で正しいことを検証しました。
炭水化物の次に来るのが、野菜やフルーツ、豆類。ビタミンやミネラル、繊維が豊富です。
そしてオリーブオイル。地中海食には欠かせない大切なオイル。
チーズや肉、魚などの動物性の食材は、たまに食べるもの。
甘いものも、時々ならOK。
要は、何でも食べてもいいけれど、基本は炭水化物と野菜や果物の植物性の食材が中心、という簡単なルールですから、覚えるのも簡単ですね。
そうそう地中海ダイエットは、グラス1杯のワインもOK。だから、だれにでもできますね!
忘れてならないのは、地中海ダイエットは食事だけではなく、運動まで。毎日、規則的な運動を行うこと、ということまで含まれています。
リバウンドもないというのも、うなずけます。
パスタで幸せホルモン!

この調査のもう一つのポイントは、パスタをたくさん食べたグループの人たちから、自分の生活の質があがったという満足感の報告があったこと。
痩せたんだから、満足感があるのは当然と言えば当然ですが、パスタをたくさん食べたグループにだけ見られた回答なんだそうです。パスタよりもパンを食べていたグループにはなかったというのが興味深い!
この研究結果は、パスタを食べると幸せホルモンがでる、という説を裏付けるようなものですね。イタリアでは昼にパスタを食べる人が多いのですが、最近では、夜に食べたほうが幸せホルモンの影響で、睡眠の質が上がるともいわれています。
最近の糖質制限ブームで、パスタ好きとはいいにくいような感じだったのですが、わずか100年前の世界では、王侯貴族やおお金持ち以外、大多数の人が、高炭水化物食で命をつないできたんです。
動物性たんぱく質は貴重品でしたから、庶民派めったに口にすることができなかったけど、みんな痩せていて肥満もなく、今の生活習慣病もなかったのですから、炭水化物だけが悪いわけではないのです!
よく、「欧米の食生活のせいで、日本人に生活習慣病が増えた」という文章を見かけますが、イタリアだって生活習慣病はなかったわけで、どちらかというと、【加工食品だらけの食生活】というほうが正しいのでは?と思います。
というわけで、安心してヘルシーなパスタ料理を楽しみましょう!