ボンジョルノ。
スパゲッティの材料って何かご存知ですか?答えは簡単、デュラム小麦ですね。
ではデュラム小麦っていったいどんな小麦がご存知ですか?
しかも、よく原材料には、「デュラム小麦のセモリナ」って書いてありますが、セモリナっていったい何だろうと思われた方も多いかも。
ここでは、スパゲッティなどお馴染みの乾燥パスタに関する素朴な疑問について、わかりやすくご説明します。
デュラム小麦は硬質小麦!
イタリアでは、スパゲッティなどの乾燥パスタは、デュラム小麦100%で作られることが法律で義務付けられています。
誰が英語をして直訳したデュラム小麦という言葉が一般的になったのかは謎ですが、イタリア語ではgrano duro(グラノ・ドゥーロ)で、わかりやすく日本語に訳すると硬質小麦です。
もっとかみ砕いて言うと、硬い小麦の品種ですね。
(日本のうどんの材料、が軟質小麦なのと対照的。これは柔らかい質の小麦粉です。薄力粉や中力粉になります。)
硬質小麦の特徴
・粒が固く、
・粒が大きくて、
・たんぱく質が多く含まれていること。
・吸水性が高い。
・黄色っぽい色
日本の強力粉も、硬質小麦が原料です。
農林水産省のデュラム小麦についての説明
ちなみに農林水産省のホームページを見てみると、「消費者の部屋」というコーナーにちょうど、こんな質問を見つけました。
以下ホームページより転載
デュラム小麦(こむぎ)についておしえてください。
こたえ
デュラム小麦は、乾燥(かんそう)、高温気候(こうおんきこう)に適(てき)するため、地中海沿岸(ちちゅうかいえんがん)や北アフリカ、中央(ちゅうおう)アジア、アメリカ大陸(たいりく)などで栽培(さいばい)されます。粒(つぶ)はたんぱく質(しつ)に富(と)むが非常(ひじょう)に硬(かた)いので、パン用小麦のように細(こま)かい粉(こな)にしないでセモリナ(小麦胚乳(こむぎはいにゅう)の祖粒(そりゅう)。製粉工程(せいぞうこうてい)で小麦をかるく粉砕(ふんさい)することによって、胚乳(はいにゅう)を細かくしないで、ざらめ状(じょう)で採(と)り出したもの)を採取(さいしゅ)しています。おもにマカロニやスパゲティ用として使(つか)います。
転載、以上。
冗談のように分かりにくい、子供向けの説明でした。
デュラム小麦の産地は?
農林水産省の説明にもあるように、乾燥した高温の地域でデュラム小麦はよく育ちます。
そのためイタリアでもナポリ以南、シチリア島が古代ローマ時代から、良質な小麦の産地として知られていました。
乾燥した高温な地域、というと、ヨーロッパ南部、アフリカ北部の地中海沿岸地方、中央アジア、アメリカ大陸。
老舗のパスタメーカー、ガロファロ(GAROFALO)のパスタの袋には、
「素晴らしいパスタを作るにはどうしたらいいのか?
世界でも高温で乾燥した地域の良質な小麦を選ぶこと。
例えば、アメリカのアリゾナやオーストラリア、そしてイタリア」
と書いてあります。
でも現在、日本製のパスタの原料に使われている硬質小麦は寒いカナダから輸入しているんです。
農林水産省のHPには日本産の硬質小麦の研究が進んでいることが記載されていましたが、高温でも多湿の日本では大変ですよね。
でも、技術と努力をもって、なんでも可能にしていくところが日本人のすごいところだな、と海外に住んでいるからこそ、いつも敬服してしまいます!
セモリナって何?
デュラム小麦は硬質小麦、ということで分かったと思いますが、では、セモリナが何かというと、
セモリナは、挽いた粉。
イタリアでも一般にセモリナ(イタリア語でセモリーノ、またはセモラ)というと、硬質小麦の粉を意味しますが、厳密にいうと、一般的に挽いた粉の意味なんです。
つまり、デュラム小麦のセモリナは、
日本語でいうと硬質小麦の粉でした。
デュラム小麦のセモリナの特徴は、
・カロチンが多く含まれるので黄色
・粒が粗い
硬質小麦の粉なので手打ちパスタを作ろうと思うと、粒が粗くてざらざらしていて一つにまとまりにくく、硬いので伸ばしにくく大変です。
だからイタリアでは、乾燥パスタではない手打ちパスタ、薄く伸ばすタリアテッレのようなものは、軟質小麦の粉を使います。
上質な硬質小麦の産地、イタリア南部の手打ちパスタは硬質パスタを使いますが、オレキエッテのように伸ばさず、手で丸めて作るものが多いです。
デュラム小麦のセモリナを使った乾燥パスタの製法
先ほどのガロファロの袋に書かれている良質なパスタを作る方法を続けると、
「良質な小麦を素晴らしいイタリアの粉ひき所に任せましょう」
とあります。
どういう風にセモリナ(挽いた粉)にするのかも、大事なポイント。
もちろん、今でも石うすで挽いた小麦粉が一番とされています。
イタリア語では、farina macinato a pietra (ファリーナ・マチナート・ア・ピエトラ)との表記があれば、石うすで挽いた上質な小麦粉を意味します。
乾燥パスタの作り方
1.こねる
製麺所に運ばれたデュラム小麦のセモリナは、不純物が混じっていないかチェックした後に、20~30パーセントの水分とよく混ぜ合わされます。
パスタを茹でている際に、小麦に含まれるでんぷんが水に溶けださないように、グルテンでしっかり包むように混ぜ合わせます。
2.型にとおす
ちょうどよい硬さにこねられた小麦は、パスタの型に通します。
型はテフロンやブロンズなどでパスタ用にきちんと計算されたもので、押し出すようにして、パスタを作ります。
テフロン型だと表面がツルツルになり、ブロンズ型だと表面がザラザラするのでパスタのソースになじみやすくなります。
3.乾燥させる
最後は温かい空気で乾燥させます。
方法はメーカーによってもいろいろですが、こだわりのパスタだとゆっくりと3段階くらいにわけて乾かすところもあります。
最終的なパスタの水分は、法律で12.5%以下にすることが決められています。
それにしても、パスタにもいろんな法律があるところが、イタリアですね。だからこそ、美味しいパスタができるんです!
パスタは太る!は大きな誤解
イタリアでも、一時パスタを食べ過ぎると太る!と言われていたことがあります。
日本では特に最近はやりの糖質制限で、炭水化物のパスタは敬遠されがちの傾向にあったようですが、パスタは太るは誤解だったことが最近の研究で分かってきました。
これまで見てきたように、乾燥パスタの材料はうどんやパンとは全く違う硬質小麦というのがポイントです。
2018年にカナダのトロントにあるセント・マイケルズ病院の研究では、
「実際はパスタはGI値が低いので、毎日食べても問題がない」
と、学術誌に発表しています。
製法でも説明したように、グルテンがしっかりでんぷんを包んでいるので、血糖値が急激に上がらないんです。
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しかも材料は見てきた通り、デュラム小麦のセモリナ以外は水だけ。まったく添加物フリーの自然な食品です。
デュラム小麦は普通の小麦粉と比べて、たんぱく質が多く含まれているだけではなく、ビタミンやミネラル分も多いんです。
だからこそ、長い歴史のある地中海ダイエットの中でも、毎日食べてもいい食品。
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注意するのは、パスタではなくて実はソースなんです。
パンチェッタやグアンチャーレ、生クリームなどの脂肪分が多いソースを食べるのは時々にして、できるだけ野菜をベースにしたソースを食べるようにするのがポイント。
私はハレとケを使い分け、カロリーの高いものは週末、というマイルールを作って、カロリーの高いものの食べ過ぎを防いでいます。
まとめ
知っているようでよく知らない乾燥パスタについてのアレコレをご紹介しました。
パスタの材料「デュラム小麦のセモリナ」が、日本語でいうと硬質小麦粉であることや、産地。
そして乾燥パスタの作り方についても説明しました。
一番大切なのは、硬質小麦で作られるパスタは、うどんやパンとは別物である、ということ。パスタが太るは大きな誤解なので、美味しく楽しく食べましょう!
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